Involvement生徒との関わりの中で

通信制高校の技能連携校である星槎学園湘南校における生徒との関わり事例ついて

K君の場合

K君は入学当初から集団が苦手で、教室に入ることさえできず、授業に入れようとすると怖がり、廊下などで泣いてしまうことがあった。
彼は周りの友人が高校に進学をし、自分だけが取り残されてしまうことが嫌だったことが理由で本校に入学してきた。

学校に来ても、一人で何もしないでいることが多かったので、授業の空き時間や放課後の時間を利用してK君と話す機会を多くもった。
趣味が将棋ということを知り、対戦したが、かなりの実力の持ち主で、彼と将棋をしてかなう教職員は誰もいなかった。そこで、周りにいた生徒たちが彼に対戦を申し出ていった。
将棋を通してコミュニケーションが取れたことが自信へとつながり徐々にではあるが人間関係の幅が広がり、教室にも足が向くようになった。
しかし、昼夜逆転から継続した登校がまだ難しく、遅刻・欠席が多かった。そこで、どちらが早く登校できるか、という勝負をもちかけた。次の日から勝負は始まり、約1ヶ月間続いた。K君の住まいは湘南校から近かったため、毎朝早い時間から登校し、勝負はK君の連勝で終わった。
そんな些細な遊びから、朝から継続して登校ができるようになった。毎日通うことで新しい人間関係が形成され、楽しそうに学園生活を送る姿が見受けられた。
3年生まで学習空白が長かったため、勉強する習慣がなく敬遠しがちだったが、卒業後の目標ができてから姿勢が変わり、猛勉強が始まった。整体師になるために専門学校への進学が決まったが、遠方のため、一人暮らしをし、学業に励む決意をした。専門学校入学後、授業についていけず、勉強に対する質問の電話が幾度も本校にかかってきた。
しかし、専門学校にも慣れ、勉強の相談ができる親しい友人ができると、湘南校へ電話をかけたり、足を運んだりすることは少なくなっていった。
その後、アルバイトをしながら勉強に励み、専門学校を卒業した。今後は、鍼灸の専門学校に進学する予定で、卒業後は開業することを目標に頑張っている。

A君の場合(インターンシップ編)

A君は自分に自身が無いという理由で湘南校へ入学してきました。入学当初は積極的に友達をつくることもなく、いつも休み時間にゲームをしているようなタイプでした。しかし、関わりが必要な農作業、グループで行動する各種行事を通し、次第に仲間も増え、笑顔で過ごす時間が増えてきました。自信が無かったために、自分の意見を言えなかった中学時代とは変わり、自分を認めてくれる仲間と出会えたことで、意見も積極的に言えるようになってきました。
そんなA君が高校生3年生の頃、新たな壁にぶつかりました。 その頃のA君は、成績は良く、行事の実行委員や生徒会などにも参加するとても意欲的な生徒でした。就職するにあたり問題ないだろうと誰もが思っていました。
そんなある日、「プレ就活 湘南ハローワーク」(インターンシップ)の話が舞い込んできました。A君は旅館でインターンシップをやる決意をしました。自信満々で初日を迎えたA君は満足げに実習の日々を過ごしていました。A君に様子を聞くと、「ちゃんとやってるから大丈夫!楽しいよ。」と答えていたので、先生たちも安心していました。
ところがある日、実習先の旅館から電話があり、その内容はこのようなものでした。「もううちの旅館で実習を続けるのは難しいかもしれません。」先生たちは驚きました。なんの問題も無いように見えていたA君。自分でもしっかりやっていたと思っていたA君がなぜ実習打ち切りの危機に迫ってしまったのか。
理由はこのようなことでした。
■清掃業務の時には、隅々まで清掃ができず、真ん中だけ掃いて終わってしまう。
■清掃が終わってもただ立っているだけで次の指示を聞きに来ない。
■実習中に疲れたら座りこんでしまう。
■それは出来ませんと平気で言ってしまう。

ここで初めて先生たちも気付きました。勉強ができても、学校でどんなに活躍しても社会で通用する力をつけなければダメなんだと。 次の日A君を呼んで事情を話しました。A君はショックを受け黙り込んでしまいました。先生との面談は3時間にも及びました。しかし、湘南校で何度転んでも立ち上がる力をつけたA君は、もう一度チャレンジしたいと強く思いました。そこから、先生との清掃猛特訓が始まりました。先生も心を鬼にして厳しい清掃指導を繰り返しました。A君は涙を流しながら一生懸命に取り組みました。次第にコツをつかんできて、走って隅々まで清掃を行えるようになってきました。その後、中断していた旅館に再度チャレンジさせて下さいと頼みこみ、実習を始めました。A君の努力が実り、旅館の方からは好評価をもらうことができました。
教育の本質は社会で生き切る力をつけることにあると考えています。ただ高校生活を送るだけではなく、本当に必要なことをいかに高校時代にやっておくことができるかということが重要です。A君はこの経験を糧に3年生の2月に無事就職を決めました。社会に必要とされる人になれたのです。

お電話でのお問い合わせ

0463-71-0991

© Seisa Gakuen | Seisa Group.

ページの先頭に戻る